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AI活用・業務効率化 2026年8月現在の情報

介護・福祉事業所のAI活用:利用者情報を守りながら書類仕事を減らす

介護・福祉の現場は、書類仕事の重さで知られています。介護記録、家族への連絡、行事の案内、ヒヤリハット報告、研修資料——「利用者さんと向き合う時間より、書く時間のほうが長い日がある」という声すらあります。

この記事では、介護・福祉事業所でChatGPTなどの生成AIを安全に使うための絶対の前提と、その前提の中で効果が出る活用場面を紹介します。この業種は、他業種より先に「使ってはいけない場面」を固める必要があります。

参考ChatGPT(OpenAI)

絶対の前提:利用者情報は入力しない

最初に、動かせない一線を引きます。利用者の氏名・心身の状態・生活状況・家族構成などの個人情報を、外部のAIサービスに入力してはいけません

介護記録に書かれる内容は、個人情報の中でも特に配慮が必要な情報(要配慮個人情報)に当たるものが多く、外部サービスへの入力は法令上も、利用者・家族との信頼の面でも重大な問題になり得ます。

つまり、介護業でのAI活用は「記録そのものをAIに書かせる」ではなく、個人情報を含まない文章仕事に限定して使うのが基本形です。ここを守れば、使える場面はちゃんとあります。

場面1. 文例集・記載ルールのたたき台づくり

個別の記録は入力できませんが、「記録の書き方の型」を作る作業にはAIが使えます。

介護記録で使う表現の文例集を作ってください。
・テーマ:食事の様子を客観的に書く表現
・条件:主観的な決めつけ(「機嫌が悪い」など)を避け、観察した事実として書く言い換えを10例。特定の個人の情報は使わず、一般的な文例として

「残さず召し上がった」「声かけで数口召し上がった」のような表現のバリエーションが手に入ります。新人職員の記録指導の教材づくりにも、同じ方法が使えます。

場面2. 家族向け・地域向けのお知らせ文

行事の案内、感染症対策のお願い、営業に関するお知らせなど、特定の利用者の情報を含まない文章はAIの得意分野そのままです。

デイサービスの家族向けお知らせ文を作ってください。
・内容:9月の敬老会の案内。家族の見学歓迎、事前連絡が必要
・条件:あたたかい調子で、でも要点(日時・連絡方法)が一目で分かるように
・出力:配布プリント用(200字前後)

場面3. 研修資料・マニュアルのたたき台

接遇研修の構成案、感染対策手順書のたたき台、新人向けの業務マニュアル。一般的な知識の整理と文書化はAIで大きく時短できます。ただし、介護技術や医療的ケアの内容は、AIの出力を鵜呑みにせず、公的なガイドラインや専門職の確認を必ず通してください。たたき台づくりの手順は社内マニュアルの記事で解説しています。

場面4. ヒヤリハット報告の「書き方例」づくり

実際の事例を入力するのはNGですが、「報告書の書き方の見本」を作ることはできます。状況・経過・要因・対策という構成の見本文例をAIで数パターン作っておくと、報告のハードルが下がり、提出率が上がります。報告しやすい職場づくりの道具として使ってください。

導入手順:介護事業所ならではの順番

手順1. 「入力禁止」のルールを先に配る

他業種なら「小さく試してからルール」でも回りますが、介護は逆です。利用者情報の入力禁止を明文化してから、活用を始めてください。ルールのひな形は利用ルール5項目の記事を、線引きの考え方は入力情報の基本ルールをベースにできます。

手順2. お知らせ文から始める

個人情報と無関係で、毎月発生して、効果がすぐ見える。最初の1業務に最適です。

手順3. 文例集・研修資料に広げる

記録の質の底上げと新人教育の時短に効いてきます。専門的な内容は専門職の確認をセットに。

手順4. 記録システム側のAI機能は、別の基準で検討する

介護記録ソフトの中には、システム内でAIによる記録支援を提供するものも出てきています。こうした業務システム内の機能は、外部のChatGPTとは契約・データの扱いが異なるため、提供元にデータの取り扱いを確認したうえで、事業所として判断してください。「ChatGPTはダメだから全部ダメ」でも「AIだから全部OK」でもなく、個別に確認するのが正解です。

介護・福祉のAI活用チェックリスト

  • 利用者情報の入力禁止を明文化して配ったか
  • 使う場面を「個人情報を含まない文章」に限定したか
  • 専門的な内容に専門職の確認を通しているか
  • 文例集は「一般的な例文」として作らせているか
  • 記録システムのAI機能は提供元にデータの扱いを確認したか

よくある質問

利用者名をイニシャルにすれば、記録を入力してもいいですか?

おすすめしません。氏名を伏せても、心身の状態や生活状況の記述から本人が特定され得ますし、要配慮情報であることは変わりません。個別の記録は入力しない、が介護での安全な線です。AIに任せるのは「書き方の型」までにしてください。

記録の時間を減らしたいのが一番の目的なのですが

その場合の本命は、この記事の場面1(文例集で書く速度を上げる)と、手順4(記録システム側の機能を確認する)の2つです。遠回りに見えますが、文例の型が職場に揃うだけでも、記録に迷う時間は確実に減ります。

職員の個人スマホで勝手に使われるのが心配です

心配なとおり、禁止だけでは地下に潜ります。「お知らせ文などには使ってよい。利用者情報は絶対に入れない」という公式の使い道を先に示すことが、一番の抑止になります。研修の場で実際の使い方を見せるのも有効です(社内勉強会の記事が使えます)。

行政への提出書類にもAIを使えますか?

個人情報や事業所の詳細な運営情報を含まない部分(文章の言い回しの調整など)に限れば補助として使えますが、制度の要件や様式の解釈をAIに聞いて済ませるのは危険です。提出書類の要件は、自治体の手引きや担当窓口で確認してください。

まとめ

介護・福祉のAI活用は、「一線を引いてから使う」が鉄則です。

  • 利用者の個人情報は入力しない。イニシャルでも不可
  • 使うのは、お知らせ文・文例集・研修資料など個人情報を含まない文章仕事
  • 専門的な内容は、公的ガイドラインと専門職の確認を通す
  • 記録システム内のAI機能は、データの扱いを個別に確認して判断する

小松のAI活用支援では、こうした「守りの線引き」と「使える場面の設計」をセットでお手伝いしています。慎重さが求められる業種こそ、お気軽にご相談ください

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