「補助金でホームページを作れると聞いたのですが」——制作の現場で、本当によくいただく相談です。結論から言うと、使える場合はあります。ただし、確認の順番を間違えると、もらえるはずの補助金の権利を自分で消してしまうことがあります。典型例が「申請前・採択前に発注してしまった」ケースです。
この記事では、補助金でホームページ制作を考え始めた段階で確認すべきことを、7項目のチェックリストに整理しました。なお、金額・補助率・締切は公募回ごとに変わるため、この記事では仕組みの説明に絞り、最新の条件は必ず公式の公募要領で確認してください。
大前提:補助金は「割引制度」ではない
最初に、誤解されやすい3つの性質を押さえてください。
- 目的がある:補助金は安く作るための割引ではなく、販路開拓や業務効率化など、制度の目的に合う取り組みを支援する仕組みです。「ホームページが欲しい」ではなく「この販路開拓のためにホームページが必要」という計画が求められます
- 後払いが基本:多くの制度は精算払いです。いったん全額を自分で支払い、報告後に補助分が振り込まれます。立て替えの資金繰りが必要です
- 時間がかかる:申請→採択→交付決定→事業実施→実績報告という流れで、数か月単位の時間がかかります。「来月までにホームページが必要」という状況には合いません
申請前チェック7項目
1. 制度の目的と自社の計画が合っているか
ホームページ制作で検討されることが多いのは、販路開拓を支援する小規模事業者持続化補助金や、ITツール導入を支援するIT導入補助金などです。どの制度も「何のための投資か」が審査されます。自社の計画がどの制度の目的に合うか、まずここを確認します。
2. 自社が対象者にあたるか
業種ごとの従業員数など、対象者の要件が制度ごとに決まっています。要件は公募回で変わることがあるため、現在の公募要領で自社が当てはまるかを確認してください。
3. ホームページ費用が対象経費になっているか
ここが特に変わりやすいポイントです。同じ制度でも、公募回によってウェブサイト関連費の扱い(上限や、それだけでの申請の可否)が変わってきた経緯があります。「前はできたらしい」という情報を当てにせず、いま募集中の回の要領で確認が必要です。
4. 発注のタイミングのルール
最も多い失敗がこれです。多くの制度では、採択・交付決定より前に発注・契約・支払いをした経費は対象外になります。「どうせ採択されるだろうから先に進めよう」は、権利を自分で放棄する行為になりかねません。発注してよいタイミングを、必ず要領で確認してください。
5. スケジュールが合うか
公募の締切、採択発表の時期、事業を実施してよい期間、実績報告の期限。この流れと、ホームページを公開したい時期が合うかを見ます。合わない場合は、次の公募回を待つか、補助金なしで進めるかの判断になります。
6. 立て替えの資金繰りができるか
後払いのため、制作費の全額をいったん支払える資金が必要です。補助金が入るまでの期間も見込んで、無理がないかを確認します。
7. 申請と報告の手間を誰が担うか
事業計画書の作成、見積書の取得、採択後の実績報告。これらは事業者本人の仕事です。本業と並行してこの時間を取れるか、現実的に考えておきます。
相談先の使い分け
補助金の相談は、相手によって聞けることが違います。
- 制度のこと・申請の判断:商工会議所・商工会、認定経営革新等支援機関などの公的な窓口。無料で相談でき、地域の事情にも詳しい相談先です
- ホームページの中身・見積もり:制作会社。制度に合った様式の見積書の用意や、事業計画に沿った構成の相談ができます
注意したいのは、「申請書を代わりに書きます」「採択保証」をうたう業者です。採択は誰にも保証できませんし、申請書類の作成そのものは事業者本人が行うのが原則です。高額な成功報酬を求める勧誘には慎重になってください。
実践:申請前の動き方
手順1. 公式サイトで現在の公募状況を確認する
検討している制度の公式サイトで、いま募集中の公募回と要領を確認します(この記事の下部にも公式リンクがあります)。
手順2. 公的な窓口に計画を持って相談する
「ホームページで何を実現したいか」を1枚にメモして、商工会議所・商工会などの窓口へ。対象になりそうか、どの制度が合いそうかの当たりを付けます。
手順3. 制作会社から見積書をもらう(発注はしない)
申請には見積書が必要になることが多いため、制作会社に「補助金申請用」と伝えて見積もりを依頼します。この段階で契約・発注はしません。
手順4. スケジュールを逆算して、申請するか決める
採択発表から公開希望日までの流れを並べて、無理がなければ申請へ。合わなければ、補助金なしで進める判断も立派な選択です。
申請前チェックリスト
- 制度の目的と自社の計画が合っているか
- 対象者の要件に当てはまるか(現在の公募要領で確認)
- ホームページ費用が対象経費か(今回の公募回で確認)
- 発注してよいタイミングを確認したか
- 採択〜報告のスケジュールと公開希望日が合うか
- 全額立て替えの資金繰りができるか
- 申請書類と報告の時間を確保できるか
よくある質問
補助金が使えるかどうか、制作会社に聞けば分かりますか?
一般的な傾向はお答えできますが、最終判断はできません。対象かどうかを決めるのは公募要領と審査であり、確認先は公的な窓口です。制作会社には「補助金前提の見積もりとスケジュール相談」を頼むのが正しい使い方です。
採択前に、待ちきれず契約したくなったら?
止まってください。採択前の発注・契約・支払いは対象外になる制度が多く、取り返しがつきません。どうしても急ぐ事情があるなら、補助金をあきらめて進めるか、窓口に相談して判断します。
不採択になったらどうすればいいですか?
再挑戦できる制度が多くあります。次の公募回に向けて計画書を見直すか、規模を調整して補助金なしで始めるかの二択です。不採択でも、作った事業計画はホームページの構成づくりにそのまま活きます。
補助金ありきでホームページを作るべきでしょうか?
おすすめしません。補助金は「もともと必要だった投資の負担を軽くする」ものです。補助金のために不要な機能まで盛り込むと、公開後の運用が重くなり本末転倒です。必要な計画が先、補助金は後、の順番で考えてください。
まとめ
補助金でのホームページ制作は、申請前の確認で結果が決まります。
- 補助金は割引ではなく、目的・後払い・時間という性質がある
- 7項目(目的・対象者・経費・発注時期・スケジュール・資金繰り・手間)を要領で確認する
- 制度の判断は公的窓口、見積もりは制作会社、と相談先を使い分ける
- 採択前の発注だけは絶対にしない
小松のホームページ制作では、補助金申請を前提とした見積書の作成や、事業計画に沿った構成のご相談に対応しています(申請書類の作成代行は行いません)。個別の制度については持続化補助金の記事とIT導入補助金の記事もご覧ください。まずはお気軽にご相談ください。