「ホームページを作りたいが、何を載せればいいのか分からない」——制作のご相談で、最初に必ずと言っていいほど出てくる悩みです。名刺やパンフレットは手元にあるのに、いざページにしようとすると何から書けばいいか手が止まってしまう。
結論からお伝えすると、載せる内容の優先順位は「お客さまが問い合わせる前に知りたい順」で決めます。会社が言いたい順ではありません。
この記事では、私が制作前のヒアリングで実際に使っている整理の手順を、そのまま公開します。読み終わったあと、手元の資料を使って今日から情報の整理を始められる状態を目指します。
優先順位の考え方:情報を3段階に分ける
ホームページに載せる情報は、次の3段階に分けて考えます。
- 必須:ないと問い合わせが来ない情報。公開時に必ず載せる
- 重要:あると信頼が高まる情報。公開後に順次追加する
- 後回し:詳しく知りたい人だけが読む情報。余裕ができてからで十分
よくある失敗は、代表挨拶や沿革といった「会社側が書きやすい情報」から作り始めてしまうことです。書きやすい情報と、お客さまの判断に必要な情報は別物です。
振り分けの基準はひとつだけです。「初めてこのサイトを見た人が、問い合わせるかどうかを決めるために必要か」。この基準で、3段階の中身を具体的に見ていきます。
【必須】公開時に必ず載せる7つの情報
まず、次の7つが揃っているかを確認してください。逆に言えば、この7つさえ揃っていれば、ページ数が少なくてもホームページとして機能します。
1. 何をしている事業か
サービス名を並べるだけでは伝わりません。「誰の、どんな困りごとを解決するのか」まで含めて一文にします。たとえば「外壁塗装の会社です」ではなく、「築10年を過ぎた戸建ての外壁・屋根の塗り替えを、自社の職人が施工します」。ここまで書いて、初めて自分に関係があるかを判断できます。
2. 誰に向けたサービスか
「どなたでも歓迎です」は、実は誰にも届かない書き方です。個人向けか法人向けか、初めての方向けか経験者向けか、「こんな方のためのサービスです」を具体的に書きます。対象を絞ると客が減るように感じますが、実際には「自分のことだ」と思った人が問い合わせてきます。
3. 対応エリア
店舗型・出張型のビジネスでは、エリアが合わなければ他の情報を読む意味がなくなります。「関東一円」のような広い書き方ではなく、市区町村名で明記します。境界があいまいな場合は「近隣エリアはご相談ください」と添えれば十分です。
4. 料金の目安
正確な価格表が用意できなくても、「〜円から」や「よくあるご依頼の例と金額」だけでも載せてください。料金情報がまったくないサイトは「高そう」「あとで営業される」と思われて、そこで閉じられやすくなります。条件によって金額が変わるなら、何で変わるのか(広さ、ページ数、回数など)を一緒に書けば、誤解は防げます。
5. 問い合わせの方法と、その後の流れ
電話・フォーム・LINEなど、どの手段で連絡すればよいかに加えて、「問い合わせたら次に何が起こるか」を書きます。返信までの目安、見積もりは無料か、断っても大丈夫か。問い合わせの直前で迷っている人の不安を消すのがこの情報の役割です。
6. 所在地・営業時間・定休日
基本中の基本ですが、意外と抜けます。またGoogleマップ側の情報と食い違っていると、どちらが正しいのか分からず不信感につながります。ホームページとGoogleマップで同じ内容になっているかも合わせて確認してください。
7. 代表者・スタッフの顔と名前
小規模事業者ほど効果が大きい情報です。大手と違って、「誰がやっているのか」がそのまま信頼材料になります。顔写真1枚と名前、ひとことの挨拶だけでも構いません。長い経歴文よりも、顔が見えることのほうが先です。
【重要】信頼を高める情報は公開後に足していく
必須の7つだけのサイトは、判断はできるものの決め手に欠けます。次の情報を、公開後に少しずつ追加していきます。
- お客さまの声・制作事例:1件でも効果があります。感想だけでなく「どんな依頼だったか」をセットで載せる
- よくある質問:問い合わせ前のためらいを消します。実際に聞かれた質問から書くのがコツ
- 選ばれる理由・こだわり:他社との違い。設備の自慢より「仕事の進め方」の違いのほうが伝わります
- 資格・許認可・実績:建設業許可や国家資格など、業種によっては必須に近い扱いになります
大事なのは「公開後に追加する前提で計画する」ことです。最初からすべて揃えようとすると、公開が何か月も遅れます。ホームページは公開してからも増築できます。
【後回し】あとから追加すればよい情報
次の情報は、不要という意味ではなく「詳しく知りたくなった人が読む情報」です。問い合わせの判断材料が揃ってから追加すれば十分です。
- 会社の沿革・詳しい社歴
- 設備・機材の一覧
- 理念・ビジョンの長文
- ブログ・コラム
- 採用情報
とくに注意したいのが、理念の長文をトップページの先頭に置くケースです。想いを伝えたい気持ちは分かりますが、初めての訪問者がまず知りたいのは「自分の役に立つかどうか」。理念は、興味を持ってくれた人が読む場所(会社概要やプロフィールのページ)に置くのが効果的です。
実践:お客さまの質問から逆算する整理手順
ここからは、実際に手を動かす手順です。制作会社に依頼する場合でも、この整理をしておくとヒアリングが一度で済み、公開までの期間が短くなります。
手順1. 手元の資料を1か所に集める
名刺、パンフレット、チラシ、メニュー表、SNSの投稿、お客さまに送ったメール。新しく文章を書き起こす前に、すでにある材料を集めます。ゼロから書くより、あるものを並べ替えるほうがずっと早く進みます。
手順2. 「問い合わせ前によく聞かれる質問」を10個書き出す
電話や店頭で、契約前のお客さまから実際に聞かれた質問を思い出して書き出します。「駐車場はありますか」「予約は必要ですか」「見積もりは無料ですか」——この質問リストが、そのまま「載せるべき情報の一覧」になります。この記事でいちばん重要な作業です。
手順3. 答えを「必須・重要・後回し」に振り分ける
書き出した質問への答えと手元の資料を、3段階に振り分けます。迷ったら「これを知らないまま問い合わせる人がいるか?」と考えてください。いないなら必須、いるなら重要以下です。
手順4. ページに割り付ける
必須情報はトップページと問い合わせページへ。重要情報はサービス紹介ページやよくある質問へ。後回し情報は会社概要ページへ。小規模サイトなら「トップ・サービス紹介・料金・会社概要・問い合わせ」の5ページ程度に十分収まります。
例:整骨院の場合
たとえば整骨院なら、手順2の質問リストはこうなります。「保険は使えますか」「予約なしで行けますか」「駐車場はありますか」「どんな症状に対応していますか」「初回はいくらかかりますか」。
この5つに答える情報——保険適用の考え方、予約の要否、駐車場、対応できる症状、初回の料金——が、トップページに置くべき必須情報です。院長の経歴や施術機器の紹介は、そのあとで構いません。
公開前の確認チェックリスト
整理が終わったら、公開前に次の項目を確認してください。
- 誰向けの何のサービスかが、トップページの最初の画面で分かるか
- 対応エリアが市区町村名で書かれているか
- 料金の目安、または「料金が決まる条件」が書かれているか
- 問い合わせの方法と、問い合わせ後の流れが書かれているか
- 営業時間・定休日・所在地がGoogleマップの情報と一致しているか
- 代表者の顔写真と名前が載っているか
- スマホで見たとき、電話番号をタップして発信できるか
よくある質問
文章がまったく用意できていなくても、制作を依頼できますか?
できます。その場合も、手順2の「よく聞かれる質問10個」だけメモしておいてもらえると、ヒアリングで一気に肉付けできます。文章そのものは制作側で整えられますが、お客さまから何を聞かれるかは、事業主にしか分からない情報です。
情報量は多いほうが検索に有利ではないですか?
量だけを増やしても効果は出にくいです。まず優先すべきは、判断に必要な情報が短時間で見つかること。薄い内容を水増しするより、よく聞かれる質問に具体的に答えるページを1枚ずつ増やすほうが、結果的に検索にも強くなります。
料金を載せると同業他社に見られそうで心配です
その心配はよく伺います。ただ、料金がまったく分からないサイトは、比較の土俵に乗る前に候補から外されがちです。正確な価格表でなくても、「目安」や「料金の決まり方」だけでも載せることをおすすめします。
会社の理念はどこに書けばいいですか?
理念が不要なのではなく、置き場所の問題です。トップページの先頭ではなく、会社概要や代表プロフィールのページに置きましょう。サービス内容で興味を持った人が「どんな人がやっているのか」を確かめに来る場所だからです。
まとめ
ホームページに載せる内容は、「お客さまが問い合わせる前に知りたい順」に並べる——これだけで、同じ情報量でも伝わり方が大きく変わります。
- 情報は「必須・重要・後回し」の3段階に分ける
- 必須は7つ:事業内容、対象のお客さま、対応エリア、料金の目安、問い合わせ方法と流れ、基本情報、代表者の顔と名前
- 迷ったら「よく聞かれる質問10個」を書き出し、そこから逆算する
まずは「よく聞かれる質問10個」の書き出しから始めてみてください。それだけで、載せるべき内容の骨組みができあがります。
小松のホームページ制作では、制作前の情報整理の段階から一緒に進めます。質問リストの書き出しからで構いませんので、何から手を付ければいいか迷ったらご相談ください。