「ChatGPTを使ってみたけど、出てくる文章が使えない」——この不満の原因は、ほとんどの場合ツールではなく指示文(プロンプト)の書き方にあります。そして失敗のパターンは、だいたい5つに決まっています。
この記事では、その5パターンを「悪い例 → 何が起こるか → 改善例」の形で解説します。自分の指示文がどれに当てはまるか探しながら読んでみてください。
失敗の原因は、新人への頼み方と同じ
ChatGPTへの指示は、入社したての新人への仕事の頼み方に似ています。「いい感じにやっといて」で伝わらないのは人間もAIも同じで、目的・読者・条件を渡さなければ、無難な平均点の仕事しか返ってきません。逆に言えば、頼み方さえ変えれば出力は今日から変わります。
失敗パターン1. 目的と読者がない
悪い例:「お店の紹介文を書いて」
誰に何をしてほしい文章なのかが不明なので、どの店にも当てはまる平均的な紹介文が返ってきます。
改善例:
蓮田市の整骨院の紹介文を書いてください。読者は、初めての来院を検討している40代のデスクワーカーです。予約前の不安(料金の目安、服装、所要時間)が減る内容を優先し、150字前後で。
「誰が読むか」と「読んだ人にどうなってほしいか」。この2つが入るだけで、出力は別物になります。
失敗パターン2. 出力の形を指定しない
悪い例:「サービスの説明を作って」
長い文章の塊が返ってきて、結局自分で箇条書きに直す——という二度手間になります。
改善例:「箇条書きで5点、それぞれ20字以内で」「表の形式で」「メールの文面として」「見出しの案を10個」
ほしい形が決まっているなら、先に言う。それだけで後工程の手直しがほぼなくなります。
失敗パターン3. 一度に全部頼む
悪い例:「ホームページの文章を全部書いて」
大きすぎる依頼は、浅く広い出力になります。各ページ2〜3行ずつの、どこかで見たような文章が並ぶだけです。
改善例:分割して、会話で進めます。
1回目:「ホームページに必要なページ構成を提案してください」
2回目:「トップページの見出し案を5つください」
3回目:「3番の見出しで、本文を200字で書いてください」
ChatGPTは一発回答の機械ではなく、会話で追い込む道具です。1回で完成を求めず、段階ごとに確認しながら進めるほうが、結果的に速く良いものになります。
失敗パターン4. 判断基準(NG条件)を伝えない
悪い例:条件なしで生成→出てきた文章が煽り気味で、専門用語だらけ→毎回同じ手直しをしている
毎回同じ直しをしているなら、それは指示文に入れるべき条件です。
改善例:
条件:専門用語を使わない/「絶対」「最高」などの誇張をしない/絵文字なし/効果を断定しない
「してほしいこと」より「してほしくないこと」のほうが、出力の質を安定させます。自分の定番NGリストを作っておくと、どの用途でも使い回せます。
失敗パターン5. 事実まで任せる
悪い例:「当店の強みを書いて」
これが5つの中で一番危険なパターンです。ChatGPTはあなたの店を知らないので、存在しない強みをもっともらしく創作します。「創業50年の伝統」「経験豊富なスタッフが多数在籍」——事実でないものが混ざった文章を公開すれば、信頼問題になります。
改善例:事実は自分が渡し、AIには表現だけ任せます。
以下の事実だけを使って、店の強みを紹介する文章を書いてください。事実にないことは書かないでください。
・国家資格保有者が施術する
・平日20時まで営業
・駅から徒歩5分、駐車場3台
5つの改善を全部入れた指示文の型
まとめると、使い回せる型はこうなります。
・目的:(何のための文章か)
・読者:(誰が読むか)
・事実:(使ってよい情報を箇条書きで。これ以外は書かない)
・形式:(箇条書き/表/メール文/文字数)
・条件:(専門用語なし/誇張なし など自分のNGリスト)
出力が出たあとは、「もっと短く」「中学生にも分かる言葉で」「別の切り口で3案」と追加で注文します。1回目の出力は素材、2〜3回目で完成、という感覚が実態に合っています。
実践:自分の指示文を直す手順
手順1. 「使えなかった出力」を1つ思い出す
最近ChatGPTでがっかりした場面をひとつ選びます。そのときの指示文が教材です。
手順2. 5パターンのどれに当たるか特定する
目的なし/形式なし/一括依頼/条件なし/事実任せ。たいてい2つ以上当てはまります。
手順3. 型に沿って書き直し、同じ依頼をやり直す
出力の違いを見比べれば、どの要素が効いたか体感できます。うまくいった指示文はメモアプリに保存して、次回は貼り付けるだけにします。用途別の保存例はビジネス向けプロンプト集の記事で紹介しています。
指示文のチェックリスト
- 目的と読者が書いてあるか
- 出力の形式・分量を指定したか
- 大きな依頼を分割したか
- NG条件(専門用語・誇張など)を入れたか
- 事実を箇条書きで渡し、「事実にないことは書かない」と指定したか
- 1回で完成を求めず、追加注文で追い込んでいるか
よくある質問
指示文は長いほうがいいのですか?
長さではなく、必要な要素(目的・読者・事実・形式・条件)が揃っているかです。要素が揃っていれば5行で十分ですし、関係ない背景を長々書くとかえって出力がぼやけます。
丁寧な言葉で頼んだほうがいい結果になりますか?
敬語の有無で品質は基本的に変わりません。「〜して」「〜を出せ」でも同じです。気を使う相手ではないので、条件を明確にすることに集中してください。
何度直しても、ほしいものと違うものが出てきます
同じ会話の中で修正を重ねると、前のやり取りに引きずられることがあります。3回直して合わないときは、新しい会話を開いて、学んだ条件を全部入れた指示文で最初からやり直すほうが早いです。
毎回この型を書くのは面倒です
型の部分はメモアプリに保存しておき、毎回「事実」と「目的」だけ書き換えるのが定番の運用です。よく使う業務(メール返信、SNS投稿など)ごとに保存版を作れば、書く手間はほぼなくなります。
まとめ
ChatGPTの出力が物足りないときは、指示文を5つの観点で見直してください。
- 目的と読者を書く
- 出力の形式を指定する
- 大きな依頼は分割し、会話で追い込む
- NG条件を先に渡す
- 事実は自分が渡し、AIに作らせない
まずは過去の「使えなかった指示文」をひとつ、型に沿って書き直すところから試してみてください。
小松のAI活用支援では、自社の業務に合わせた指示文の型づくりと社内への定着をお手伝いしています。お気軽にご相談ください。